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春日部てんこの異世界器用貧乏  作者: O.K.Applefield
24章
219/219

24-9


 山の子供達は村長邸の使っていなかった離れに宿泊して貰う事にした。

 二棟を男女で分けて住まわせる。

 あまり難しい事を教える訳では無いから、一月に一週間くらいのカリキュラムで済む。

 頻繁に行き来してもらうのも面倒だろうから、二月に一度、二週間だけ預かる事にした。

 初日は宿泊場所に案内して、部屋割りを決めて終わった。

 親御さん達は、その日の内に帰って貰う。

 次の日の午前から授業を始める。

 元から通っている村の子供達とは習熟度が違うので、別の時間に教える事にした。

 村の子供達は週に二日通ってもらっているけど、山の子供達は休みの日以外は毎日で短期集中授業になる。

 重なる日は午前と午後で分ける事にした。

 学校の担当はユキで、彼女の負担が増えるけど、私達も出来る限りお手伝いはする。

 最初の授業はまず学校の雰囲気に慣れて貰う為に、簡単なものだった。

 そして、その日のお昼ご飯は子供達の歓迎会として、御馳走を用意した。

 村の子供達も呼んで、みんなで仲良くなって貰う。

 うちで雇っているメイドさん達が料理を作ってくれて、それを運んで来てもらう。

 教室として使っている部屋は元は村長邸の大食堂なので厨房が隣に有って、給食を出すときとかに便利だ。

 メニューは唐揚げとフライドポテトである。

 どちらも油を使う料理で、単調な感じもするけど、そこは味付けで誤魔化す。

 食用油は貴重なので、どうしてもこういう機会にまとめて作る事になる。

 揚げ物は、たまの御馳走だ。

 唐揚げは鶏肉とランディさんが持って来てくれた鴨や色んな種類のお肉で作った。

 下味はあんまり付けずに、色んな調味料を用意する。

 シンプルに塩とか、夏の間に大量に取れたトマトで作ったケチャップ、モモから貰った魚醤、カレーパウダーもある。

 子供達はみんな、ワイワイしながらいろんな味を試している。

 村の子達は唐揚げを多く食べている。

 逆に猟師の子達はフライドポテトが好きらしい。

 猟師は主に動物を狩って食料にするから、栽培された野菜や穀物は買うか交換しないと手に入らない。

 逆に農家は家畜を飼ってはいるが、それは特別な時にしか食料にはしない。

 だから、お互いに普段あまり食べられない物の方がご馳走だと思うのだろう。

 私はどちらも好きだ。

 唐揚げはたんぱく質と油、フライドポテトは炭水化物と油、どちらの組み合わせも捨てがたい。

 唐揚げの方は小麦粉を衣にしているので、三大栄養素が全部含まれているか?

 でも、ポテトのお腹に溜まるたっぷりの糖質も良い。

 いや、別に子供達に混じって、バクバク食べてたりしないよ?

 流石に、また太ったとか言われたくは無いし。

 それに、子供達が食べている間に私は別の作業をしていた。

「デザートもあるよ~!」

 私は子供達が食べている間に厨房で作ったケーキを持って、教室兼食堂に入って行く。

 この世界ではこってりとしたバタークリームのケーキかクリームを使わないパウンドケーキの様な物が主流らしい。

 私としては、生クリームのケーキを作りたかったんだけど、この世界で生クリームはまだ発明されていない様だ。

 お菓子作りが趣味だったというリーナによると生クリームは牛乳を遠心分離器にかけたりしないと作れないらしい。

 なので、卵白を泡立てたメレンゲに砂糖や牛乳、バターを加えてそれっぽい物を作った。

 小麦粉、牛乳、卵と砂糖を混ぜて焼き上げたスポンジにクリームを塗っている。

 フレッシュさも欲しいので薄切りにした洋梨を挟んである。

 この世界で洋梨、和梨と言うのもなんだけど、和梨の様な丸い奴ではなく瓢箪型の洋梨に近い奴だ。

 アルマヴァルト地方はりんごの生産が盛んだが、他の果樹も栽培されている。

 梨、特に洋梨は追熟ついじゅくが必要な果実だ。

 りんごとは違って、収穫後に少し時間を置くことで果肉が柔らかくなり甘みが増す。

 その時間差を見極めて、生産地から消費地に運んだり保存したりしている。

 私達の村でもりんごの主力品種をもぐ前に収穫した梨が丁度食べ頃になっていた。

 味見したけど、柔らかさと甘みが最高の時期だ。

「ケーキだ!」「なんか絵が描いてある!」

 子供達がケーキを見て騒ぐ。

 ただの白いクリームのケーキだと味気ないので、色付きのクリームも作って上面に絵を描いていた。

「何の絵?」「・・・悪魔?」

 子供達がちょっと引く。

「え?ええと、お馬さんだよ?」

 思わぬ反応に私は固まる。

 白いクリームの上に、黒ゴマを練り込んだ別のクリームでうちの黒毛の(ブラック)マーサを描いたつもりなんだけど・・・

「てんこちゃん、絵が下手なんだから、無理に描かなくても良かったのに」

「うーん、全体のデッサンが狂ってるのに細かい所が妙にリアルで、逆に不気味なんだよね・・・」

 リーナとカレンがそんな事を言う。

 彼女達もそれぞれケーキを作ってデコレーションをしている。

 苺とかのジャムを使ってデフォルメした猫とか簡単な絵を描いていた。

 あれらに比べると、精密に描けてて良いと思うんだけど・・・

「はいはい、お腹に入っちゃえば全部同じだからね」

 ユキが私のケーキにナイフを入れて切り分けてしまう。

 ・・・自信作だったのに。


「赤ちゃんには、こちらをどうぞ」

 メイドのオリビアさんがレンちゃん用にりんごをすりおろした離乳食を運んで来た。

 子供のおもりは慣れている様で、気が利く。

「あ、有難うございます」

 リンがお礼を言う。

 オリビアさんはニッコリ笑って戻って行く。

 他所の村に貸し出していたギリアムさん達が先日帰って来ているので、機嫌が良いみたいだ。

 リンとクロイも食堂で一緒に昼食を食べていた。

「子供もいるのに手伝ってくれて有難う」

 私が二人にそう言う。

 リンとクロイもレンちゃんを抱えながら、うちの村の学校を手伝ってくれていた。

「お世話になってるからね」

「もう少ししたら自分達の村に戻るし、今の内に恩は返しておきたいからな」

 リンとクロイがそう言う。

 山賊も居なくなったし、領主のエドガーさんからの援助も出るので、もう村に帰れるらしい。

 可愛い赤ちゃんが居なくなるのはちょっと寂しいが、やっぱり住み慣れた土地の方が良いだろう。

「・・・私もやって良い?」

 クロイがスプーンで掬ったすりおろしりんごをレンちゃんに食べさせているのを見て、私もやりたくなる。

「ああ」

 クロイがスプーンを渡してくれる。

 私は慎重に掬ったりんごをレンちゃんの口に運ぶ。

 まだぎこちない口の動きで、食べてくれた。

「あ、雪が降って来てる。・・・初雪だね」

 窓の外を見てリンがそう言った。

 見ると、ずっと曇りだった空から、白い物が舞い降りて来ていた。

 屋敷の中は暖炉で火を焚いているけど、外は寒そうだ。

 でもなんか、季節が進んだ事に対してワクワクする自分が居る。


ここまで読んで頂き有難うございます。

次はどうするか未定。

新シリーズ始めようかと考えてます。

異世界ファンタジー&ロボットモノとか・・・

てんこの続きも構想は有ります。

ともかくしばらくお待ちください。

では、また。


・・・あと、あけおめ。

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あけましておめでとうございます 暫くお休みですか…、またてんこちゃんに会える日を楽しみに待ってます
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