私の豪運はムニムニを届ける。
またあんたか・・・みたいな表情やめてください。
私知ってるんですから!ものひろいよりもこっちに心血注いでるってこと!
ほら、さっさと書け!
次の瞬間レノがビキニの水着姿になった。
な、何作者の力使って服装変えてるんですか!!JKにこんな事していいと思ってるんですか!?
は?何ですか、その「うわっ、失敗したわー」みたいな顔は・・・
次の瞬間レノの姿が元に戻る。
おい、ガッカリしたからって元に戻してんじゃねえぞ!JKの柔肌見とけや!
ドゴッ!
・・・・・
又もや変な夢から覚めた私は和風の広間にいた。
なぜか握っていた拳がほんのり暖かいのは多分気のせいだろう。
「あれからどうなったんだっけ?」
天井を見ながら、昨日を思い出す。
「さあ、着いたにゃ。ここが私の住んでる屋敷にゃ。」
獣人に触るがまま、言われるがままに付いて行った私の目の前に現れたのは、中世の建物でも未来の摩天楼でもなく、日本の伝統的な武家屋敷であった。
ちょっと王城的な建造物を期待していただけに、私は内心がっかりしていたのだが・・・そこは大人の余裕を見せるためにお世辞というものを1つ添えることにした。
「伝統的というか・・・趣があっていいね・・・。」
「そんながっかりとした表情で言われると辛いだけだから、正直に言ってほしいにゃ。」
「期待外れ!ダサい!」
「もう少しオブラートに包めにゃ!!」
そんな事を言いつつ、私は不思議に思った。
ここまでの道中、数多くの和風の家々を見てきたが、このような立派な屋敷は一つも見当たらなかった。
どうやらクッションには隠し事があるらしい。
「この屋敷・・・街で、一番大きい気がするけど。」
目の前の獣人はその言葉を待ってました!と言いたげな表情だ。
「気になるかにゃあ?私はこのテウリアと呼ばれる地域の領主にゃ!!」
「ふーん、すごいね・・・。」
「なんか、微妙な反応だけどまぁ良いにゃ。」
何でそんな奴があの開けた草原に居て私のクッションになっていたの?だとか、何でクッションみたいにモフモフなの?とか様々な疑問が私の頭を巡るがそこはオブラートだ。
「まぁ自分の家だと思ってくつろぐと良いにゃ!ってもう寛いでるにゃ・・・。」
大広間に案内された私は足を伸ばして大の字で横になっていた。
「なんか落ち着く。」
「はぁ・・・。とりあえずご飯にするにゃ。」
涼し気な顔でクッションはポフポフと手を叩く。
それで家臣たちに聞こえるのか謎だったが、その後近くの別の獣人に目配せをしてようやく家臣たちが動き出したことだけは確認できた。
屋敷の雰囲気も相まってなんとなく、私は武将風に言ってみる。
「うむ。腹が減っては・・・・なんだっけ??」
「戦はできぬにゃ。」
「そうだね。トイレ行けないよね。」
「クソのほうじゃないにゃ。お前、思ったよりも下品にゃね。」
「尻尾掴まれて、ちょっとエッチな声出したやつに言われたくないんだけど・・・」
「にゃにゃ!」
そういったやり取りをしばらくしていると着物を着た犬の獣人がぞろぞろとやってきて食事を目の前に置いた。
「うまそー!ってあれ?」
私が楽しみにしていたご飯は猫以下と言っていいものであった。
ご飯、めざし、味噌汁だけ・・・・・そうそれだけです。
あれ?コンビニで買うはずだったポテチは?ちょっと前世に戻りたいんだけど・・・・。
あの自称神様(クソ親父)、許さん!!
「質素、倹約、謙虚・・・・大和撫子のたしなみにゃ。」
何言ってんだ?このクッション。
なーにが、大和ナデ☆シコじゃ。
こちとら豪遊、浪費、傲慢のピチ☆ピチJKやぞ!!
と思いつつ、謙虚さを持ちながら懇願した。
「ちょっと、クッションと一緒の嫌なんだけど・・・」
「にゃ!?が、我慢するにゃ。今は大戦中で物資が不足してるにゃ。」
大戦中??戦国時代じゃあるまいし・・・。
取り敢えず私は仕方なく大和撫子イズムを取り入れ、めざしを一匹口に頬張った。
「ありゃ、大変だね―」
「それも興味なさそうだけど、一応話しておくにゃ。」
クッションの話だと魔王が近隣の街と戦争をしているらしい。
ここからは遠方の国々だというが、物資やら人材がそこに集結している状態だった。
そんな話を聞き終わった私は、あの時の一撃を想像しながら拳を握っていた。
「おのれ、魔王・・・・・とクソ親父。」
「最近では人手不足で魔物被害がひどいから、食料はもっと貴重にゃ。そうにゃ。」
「何??」
「お前、ギルド経営やってみないかにゃ?」
「は?」
「人手不足でギリギリ経営だけど、お前なら学がありそうだしなんとかなるにゃ。」
何という貧乏くじ・・・。まぁ私の豪運なら一等クジに捻り変えるだろうけど。
私が返事をする前に、クッションは話し出す。
「決まりにゃ。」
「まてぃ!」
「何にゃ!?働かざる者なんとやらにゃ!」
「めざし、もっとください。」
割と美味しかった。
「そっちかにゃ。まぁよろしく頼むにゃ。」
クッションからめざしを数匹もらった。
「しょうがないにゃぁ・・。」
「ま、真似するんじゃないにゃぁ。」
食後、私は用意された湯船に浸かりながら考えていた。
「私がギルド経営かぁ・・・。そのジャンルのゲームは、やったことないなぁ・・」
手を天井にかざし更に考えていた。
「んー。」
すると手をかざしていた方から、突然あの獣人が出現した。
「は?」
当然クッションは重力に従い、悲鳴を上げながら私の上に落っこちてきた。
「ん、んに”ゃあああああっ!」
ばっしゃーん。と音を立てながら湯船の水は外へと飛び出す。
「いたい。」
「痛いのはこっちにゃ!何をするにゃ!」
「しらん、こっちが聞きたい。」
私は自然とクッションに手を伸ばしていた。
モフモフの中にかすかなムニムニを感じる・・・。何だこれ?
「にゃ!?そこはダメにゃ!」
そのかすかなムニムニはどうやら私よりも大きいようだ。
クッションが湯船で暴れだす、暴れたいのはこっちだ。
クッションが立ち上がりこちらを見つめてくる。
「やめるにゃ。」
モフモフが棒切れのようにしぼんでいた。
「ほ、ほっそ。」
「にゃ!?まじまじと見るんじゃないにゃ。」
「そっちこそ。」
しばらくしているとクッションが話しかけてくる。
「何が起こったにゃ?」
「手を伸ばしたらクッションが落ちてきた。」
「意味がわからないにゃ。」
「こうやって手を伸ばしてたらだな・・・。」
私は湯船の外に手を向ける。
すると湯船に居たはずのクッションがそこに召喚された。
「にゃ!?私、今そこにいたにゃんね。」
「そうだよね。」
「お前、転生者ってことは能力かにゃ?」
「能力?」
「転生者がもらえるはずの特典にゃ。ステータスを開いてみるのにゃ。」
クッションに言われたとおりにステータスを開く。
何だこれ・・・。ビーストテイマー・・・。
そういえば私は自称神様から何も聞いていない。
あのクソ親父・・・。
「ビーストテイマーって書いてあるんだけど・・・。」
「にゃ!?それがお前の能力にゃ。」
今の所、私にはクッションを召喚する能力があるようだ。
どうりでスタート地点に高品質クッションが用意されていた訳だ。
これはこれで使いようがあるのだ・・・・。
私は湯船の上に向かって手をかざした。
「ふっ。」
その行動に、クッションは目を見開く。
次の瞬間、クッションが湯船の上に出現する。
「にゃーっ!」
再び湯船の水が外へ飛び出る。
「く、クソガキ。いい加減にするにゃよ。」
ゆっくりとクッションがこちらに近づいてくる。
私は再び湯船の上に向かって手をかざす。
「やめっ・・・!」
「にゃーっ。」
ばっしゃーん。
「にゃーっ。」
ばっしゃーん。
それを2、3回繰り返した。
「あははは。」
ゆっくりと、クッションは立ち上がる。
獣人の少女は手で目をこすっていた、流石にやりすぎたと思った。
「ひ、ひどいにゃ・・。」
「ご、ごめん。」
「ふっ。」
次の瞬間手をかざしていないのにもかかわらず、クッションの姿が消える。
背後に気配を感じ振り向こうとするが取り押さえられてしまった。
「覚悟するにゃ。」
獣人の手が私のムニムニにあたっている。
「ちょ!ちょ!ちょ!・・・」
「この程度の演技にだまされるなんて、ガキにゃ!お返しにゃ。」
「ぎゃーっ!」
ということで16年間守り続けてきた、乙女の純白はクッションによって汚されてしまったのだった。
「うぅ・・・。」
再び私は布団に包まり眠りについた。