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私の豪運は魔技を届ける。

「とりあえず、手紙として送ったが2週間ぐらいは掛かるだろうな!」


「分かったにゃ。」


「んで・・・だ。二人共、ほれ!」


男性から二つの剣を渡される。

「これは・・・。」


「魔技を使うための道具、魔剣と呼ばれるものだ。」


「ということは。」


「当然修行するんだろ!?」


「もちろんにゃ!」


男性に案内された私達は、相撲の稽古場に似た場所に居た。

広場から10メートルほど離れた稽古場の端の方に木製の案山子にが複数体用意されている。


「始めは魔法をマトに当てて威力の確認と威力向上の為の練習だな。」


「わかったにゃ。」


10分後、私とアイネは疲れ切ったように肩で息をしていた。

始めは魔剣を案山子に向けて魔法を放っていたが、次第に腕が重くなり上げられないほどになっていた。

当然二人共近接職なので、戦闘において魔法を使う機会は皆無なのだ。


「はぁっ、はぁっ・・・。」

「これは・・・きついにゃ・・・。」


「ははっ、まぁ最初はそんなもんだろうよ。」


「ですかね・・・・。」


「にしても猫の譲ちゃんは魔法一発で大分きつそうだな。」


「にゃ・・・。」


剣を握りしめて前へとかざしイメージする。

剣先から小さな炎が出たと思えばやはり腕が一気に重くなった。


「はぁっ、はぁっ。」


「ロモさんの場合、とっておきって感じですね。」


「普通に戦ったほうが強いにゃよ。」


あのときの記憶が思い浮かぶ。

レノの大きな銃を背負って、再度リヴァイアサンと対峙した時だった。

アイツと同じ様に引き金を引いた瞬間、一瞬銃口が光っただけで膝を着くほどの倦怠感がドッと来たのだ。

そう思うと規格外の何者でもない、アイツの凄さというものを改めて実感できた。


「まぁイメージさ。少しずつ練習していけば使えるだろう。」


「ですよ!ロモさん!」


「わかったにゃ。」


「まぁ実戦だとこんな風に連続して魔技を当て続けるんだけどな。」

男は目の前のサンドバッグに対して、二本の魔剣を構えた。


次の瞬間、ダンスを踊るかのように華麗に武器を振り回す。

サンドバッグに魔剣が当たったかと思えば既に魔技が発動していて炎が円を描く様に噴き出る。

それを皮切りに連続してサンドバッグに魔技が叩き込まれ、踊っている様にしか見えない様は、初めて見る戦闘スタイルであった。


気がつくとサンドバッグはその衝撃に耐え切れずに中身の砂を地面に撒き散らしていた。

男は落ち着くように魔剣を鞘に仕舞い込んだ。


「まぁこんな感じだな。」


「何か凄いですね。」


「そうか、そのスタイルにゃら!」


「ロモさん!?」

「ははっ、嬢ちゃんやる気だな」


私も魔剣を構えながら、演舞と呼ばれるテウリア伝統の舞を思い出していた。

それは私が前世の日本というところで歴史的に受け継がれてきた伝統芸能に近いものであった。

サンドバッグのギリギリに魔剣が来ると、剣の刃の反対側に極小の爆発をイメージする。

小さな音が聞こえたと思えばその魔法の衝撃で魔剣がサンドバッグを切り付けながら加速していた。


速度を落とさないように円を描く様にしながら再度向きを変えてサンドバッグにギリギリで魔剣を当てる。

まるで背後から太鼓で鼓舞されながら、剣を振り回しながら踊る様なその戦闘スタイルは、やっている私ですら華麗で優雅に感じたほどだ。


「凄い、凄いですよ!ロモさん!」


「あぁ、俺も見たことがねえ。是非ともこの島の新しい魔技の型に追加させてくれ!」


爆発を利用して強力な斬撃を高速で連続して叩き込んでいたが次第にその速さが仇となり、イメージと剣の当たった瞬間がズレ始めた。


「んにゃっ!?」


持っていたはずの剣が手から離れて、気がつくと修練場の壁に突き刺さっていた。


「こりゃ、暴れ馬みたいな魔技だな。」


「これにゃら、魔法の負担も少ないから、いい感じだと思ったんだけどにゃ。」


「まさに暴れ狂う阿修羅のような技ですね。」


「それいいにゃね。演舞・阿修羅で決まりにゃ!」


「演舞・阿修羅か、かっこいいなお嬢ちゃん」


修練場にカバンを持った褐色少女が入ってくる。

「お姉ちゃんたち。お迎えに来たよ!」


「テアちゃん。」

「疲れたにゃ。」


「テア、俺には無いのか?」


「お父さんはまだやるでしょ?」

「はっはっは、そうだな。」



翌日、島に一つしか無い娯楽施設、闘技場は屋外に引けを取らない熱気に包まれていた。

観客は今か今かと、何かを待っていた。


入場口の暗闇からゆっくりと猫の獣人が歩きながら現れた。

その人物を見るやいなや、一瞬にして闘技場が静まり返った。


派手な格好をした司会者がメガホンを使って大声で叫ぶ。

「突如現れた、超新星!ロモォオオオオ=クゥウウウウシャアアアアア!!」


そのプロレスの司会者のような大声を皮切りに闘技場の熱気と喧騒で溢れかえった。


そして司会者は反対側の入場口を手で指示してメガホンを再び構えた。

「相手はなんと!!ダーヤマさん家のキラァアアアアアアゴブリンダァアアアアア!!!」


その謳い文句に猫の獣人は微妙な顔をする。

(そんな、〇〇さん家の野菜みたいに言われてもにゃ・・・・。)


よく見ると筋肉の付き方とツヤ?とでも言うのか今までのゴブリンとは一線を画すような雰囲気を感じる。

(立ち振舞にブレがなく無駄が無い・・・ダーヤマさんとは一体・・・。)

本当に良いものがあると生産者が気になる、そんなありがちな人間の性を獣人のこの身で感じていた。


(今までの相手とは別格・・・相手にとって不足なし!!)


そう思いながら仁王立ちをしながら2本の魔剣を取り出した。

その様子を見て相手のキラーゴブリンは顔色変えずに構えるようにゆっくりと腰を落とした。


会場の喧騒に紛れて背後の観戦席から聞き慣れた声が聞き取れる

「おねーちゃん!がんばえー!」

「ロモさん!勝てば優勝ですよ!!」

「譲ちゃん、気合い入れろ!」


その声を聞いた猫の獣人は二本の魔剣を更に力強く握りしめた。

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