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私の豪運は水の聖地を届ける。

私達は穏やかな地中海のような場所にひっそりと建造された大きな港湾にいる。

この地中海のような場所というのが世界各地に届けられる水を貯めている湖で、その規模を示すかのように見渡す限りの地平線が水平線であった。

かつては湖は地上だったらしいが、今は伝説が諸説残るだけで定かではないようだ。


この貨物船の他にもタンカーやらヨット、クルーザーが停泊していて、この甲板からでも荷物の積み下ろしなどで人々が行き来している様子が伺える。

私は怪我を忘れたように全力で背伸びをする。

「んー、風が気持ちいい!!」


レアちゃんは長い髪をかき上げながらスッキリとしていた。

「本当ですね。」


「さぁ、ここが今回の調査地域の水の聖地マルクルにゃ!」


「噂にたがわず、きれいね!」


この港湾から見上げるように山の斜面に沿って、白い建物と青い扉が織りなす独特のコントラストを作り出す街並みが広がる。

その街は地中海のサントリーニ島に近い風景で、あの家出のことを思い出させる雰囲気を醸し出していた。

街の高い所には教会があり、テウリアとは違った信仰が行われていることも伺える。


貨物船から降りた私達をとある女性がお辞儀をして出迎える。

「お待ちしておりました、テウリア領主御一行様!わたくし、マルクルギルドの聖地管理組合の案内人を務めております、ランと申します。」


「出迎えありがとにゃ。」


「はい、それでは本日の宿の方を案内させていただきます。」


私達はマルクルの街並みを堪能しながら、宿を目指していた。

ここは観光地も兼ねており、多くの人とすれ違いながら階段を登っていた。

階段の途中には外のテラスで食べれるレストランやここの特産だと思われる杖を販売する店が所せましと並んでいる。


物珍しそうにレアちゃんとリロは目移りしていた。

「ご主人様、あとであそこ行きましょうよ。」

「おねちゃん!!見てみて!杖だよ!」


「お、どっちも良さそうだね。」

さすが水の聖地といった所か、大戦中にも関わらず肉や野菜をふんだんに使った料理が振る舞われており、テウリアのお祭り以上に街には活気が溢れている。

杖に関しても水属性の青系をメインとしたスフィアが多く杖先に取り付けられていた。

手持ちのスフィアブレットも船の一件があったので補充しておいたほうが良いだろう。


「到着いたしました。ここが皆様に泊まっていただく、ホテル・デルフィーノとなります。」

そこにはホテルというよりもここの地域の民家らしき家が敷地内に点々としていた。

「おー、高いやつだ・・・。」

「そうなのかにゃ?」


「さぁこちらです。」

ホテルの部屋に案内された私達はマルクルの湖を一望できる窓が備え付けられた部屋に感動していた。

空の水色と水面の青が交わりそうで交わらない絶妙なラインで、波一つ立てずに平静を保っている。

大海原と違うそれは絵画とも現実とも違った別の味わいを楽しませてくれていた。


「これは・・・。」

「凄いにゃ・・・・。」

「何だか、神秘的ですね。」

「きれい・・・。」


「この光景は当ホテルならではでしょう。この地域を終の棲家にする人も多いんですよ。」


「確かに、ありかもしれないにゃ。」

不老不死なのに終活を考え出すという渾身のギャグをかましてくるクッションであった。


「私もここが良いですね・・・。ね。ご主人様。」

「うーん。私は良いかな。刺激を求めて家出するぐらいだから」


「あんたの家出は普通じゃないわよ!」


「それでは明日よろしくおねがいしますね。」

お辞儀をすると案内人は去っていった。


「さてどうします?」

「明日の朝まで自由でいいんじゃないかにゃ?」


「おっけー。」

「そうね。」


夕食にはまだ早いので杖も含めて店を回ることにした。

「買い物行こっか?」

「港湾の近くに大きな市場が見えたにゃ。」

「そこ行きましょう。ご主人様。」


水の聖地というからには、当然世界中に供給するための河川が存在する。

世界中の海運業者は貿易のためにここを目指し、そしてあらゆる物品が此処を経由するという。

勿論その港湾に面しているマーケットでは直接取引も可能で、ほとんどの品物が格安で手に入るそうだ。


私達は大量の宝石が展示されている店の前で話し合っていた。


「ご主人様、これなんかどうです?」

レアちゃんはおしゃれなネックレスを首元に見せてくる。


「おー、似合ってる。」


「そ、そうですか!?これください!!」


店主が威勢よく喋りかけてくる。

「はいよ!」


幼い少女はアクセサリーに目もくれずに別の物を見ていた。

私の服を引っ張りながら呟く。

「ちょっと!見なさいよこれ!スフィアの原石よ!!」


アメジストのような煌めきを放つ石を見せつけてくる。

「きれいだね。」


「それだけじゃないわ。加工しやすいからスフィアブレットに最適よ!」


現状大量のスフィアブレットがギルドの倉庫に眠っているが、レアちゃんの不運による戦闘をかんがえると多すぎて困ることは無いだろう。

「ふむふむ・・・。金貨30枚!?安っ!!」


「普通の人から見たらこれでも高いわよ!」


「そうなのかなぁ・・。今度から此処で仕入れようかなぁ・・・。」


「そんなに大量にほしいなら宝石商でもやればいいのに・・・。」


「その手があったか!」


「アホね・・・・。」


わざわざ王都の宝石商から1つ金貨500枚という高額で仕入れていたが、この港町なら10分の1以下という格安でスフィアブレットの原料が買えるというのだ。


無論お金には何故か困っていない私だが、理由はもう一つある。

なにせ王都から得たお金を、あの国王の元に返したくはなかったのだ。


「おっちゃん。スフィアの原石、ある分全部頂戴!」


「まいど!」


「それとここの原石以外は、テウリアのギルドに送っておいて」


「アンタ!何やってんのよ・・・・。」


「お金はあるんですか!?」


「無いけど・・・。」


「お前にゃぁ・・・・」


「お願い!クッション☆」


「で?いくらにゃ?」


「金貨4000枚になります。」


その金額にロリが驚く。

「アンタ達・・・いつもこんな感じなの?」


「まぁそんな感じかな・・・」


クッションが店主に小切手を渡す。

「まいど。」


「後は、原石を加工できるお店を探すだけだね。」


「あ、ご主人様。あそこの宝石店工房のような設備がある見たいですよ。」


「おっけ。」

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