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私の豪運は親友を届ける。

私は真っ赤な視界の中で、敵を貨物室に追い込むことに成功した。

目の前のコイツを倒さなければならないという、強い気持ちに苛まれていた。

両手に更に力を入れ、爪を最大まで研ぎ澄ます。

狙うは一撃必殺だ・・・。しゃがみながら、右足に力を入れる。


「ちょっと!私は冒険者だってば!!」


目の前の女は戸惑いながらも武器を握っている。

それが敵である確かな証拠だ。


「敵は、ここで倒す!!」


私は勢い良く相手に向かって飛び出し、更に地面を蹴って変則的に加速する。

相手の薙ぎ払った剣を上に避け、急降下する形で襲いかかった。


「遅い!!」


「しまっ・・・!」


爪が奴の首元まで後少しといったところで勝利を確信した刹那、右の方から強い衝撃を受けた。

次の瞬間、大きな爆音と共に攻撃しようとしていた腕から、私の体は左の方へと吹き飛んだ。


「がはっ・・・。」


その衝撃で消滅した私の右腕から、大量の血が流れ出だした。


「ギリギリ・・・間に合ったかな・・・。」


消失した腕の根本を抑えながら、その声の方に目を向ける。


「誰だ・・・・。」


「クッション!私だって!!」


そこには忌まわしき武器を握った人物が居た。

奴らがおそらく、今回の襲撃犯達だろう。

左手の爪を奴らに合わせて、集中する。


「まずはお前達からだ。」


「あちゃー。やっぱりリロの銃だと威力が足りなかったか・・・。」


「どうやら正気を失っているみたいですね。」


正気を失っている・・・?

何を言っているんだコイツらは・・・。

私は襲撃をして、更に最悪を撒き散らす最低の敵を倒しているだけだ。


再び、忌まわしき前世の記憶がフラッシュバックする。


「あああああああああああっ!!」


「ロモさん!!」


私の視界が更に赤く染まった。

やはり奴らを、いち早く殺すべきだ。


「くっ・・・。」


爆音とともに敵が放った攻撃を、私はすばやく横に避けた。

「遅い・・。」


「ちょ、ちょ!魔法よりも速いの!?」


「私も援護します!!」


私に次々と魔法が飛んでくるが、回避は余裕だった。

まずは先程から、のうのうとしている真ん中の女からだ。


「死ねっ!!」


私は奴を縦に切り裂くように爪を振るった。

「ぐっ。」


その忌まわしき武器ごと切り裂いたつもりだったが、それは傷1つ付いていないようだった。

「やっぱり凄いね・・・。ロモと一緒に作った武器だから・・・。」


先程からコイツは何を言っているのか・・・。

ロモとは一体・・・・。


「糞がっ!!」


私は奴の武器を右足で上空に蹴り上げ、襲いかかる。

「ご主人様、危ない!」

「おねーちゃん!!!」


「ごめん・・・。」



その言葉に動揺したのかはわからないが攻撃を避けられた。

気が付くと私は抱きしめられていた。


どういうことだ・・・。


「や、やめっ・・・・。」


奴の背中に爪を立て、ゆっくりを引っ掻いた。


「いっ!!辛かったよね・・・気が付いてあげられなくて・・・。」


何を言っているんだ・・・。


「もっと、話しておけばよかった・・・・。」


両側から声がする・・・。


「ロモさん!!」

「ロモ!!」


奴らは私を見つめながら同じ言葉を発していた。


ロモ・・・・誰だそれは・・・。

私は・・・・、××××なのに・・・・。


奴は再び強く抱きしめる。


「帰ってこい!!ロモ=クーシャ!!」


「わ、私は・・・・。いっ!!」


凄まじい頭痛が起こり、別の記憶がフラッシュバックする。



あの日、草原にいた事・・・同じ釜の飯を食べ、お風呂に一緒に入ったこと。

ドラゴンを倒し武器を手に入れたこと・・・。


笑い、泣かされ色々な冒険を共にしたこと。


そうか、こいつらは・・・・。


ゆっくりと肩の力を抜く。


「おかえり・・・クッション・・・。」


私は、涙を流していた。

「クーショ・・・・にゃ・・・・。」



私を抱きしめていた少女はしばらくしてから叫んだ。

痛みからか、涙目で過呼吸になりかけていた。

「はぁ・・・はぁ・・・、いっってええええええ!死ぬかと思った!!」


「だ、大丈夫かにゃ!?」


慌てて少女の服の後側をめくる。

少女の背中は無残にも皮ごと引き裂かれ傷に沿って血が流れ出ていた。

誰が見ても痛々しい光景がそこに広がっていた。


「あわわ、ご主人様、背中凄い傷・・・。」


「肩から腰にかけて、斜めに3本線入ってる・・・痛そう。」


「めっっっっっちゃ痛い!」


守りたいと願った親友をこの手で傷つけてしまった私は、自責の念で死にたいという気持ちでいっぱいだった。

そして私の呪いとも言える不老不死はそれを幾度と拒み続けるのであった。


「ごめん・・・・にゃ・・。」


少女は激痛に耐えながら、笑顔で私の頭を撫でる。

「いいって、気づいてあげられなかった私の罰だと思えば大丈夫!それに辛かったんだよね・・・。」


私は、思い思われながら再び涙を流していた。

「うぅ・・・・。」


慌てて遠くの冒険者が近づいてきた。


「だ、大丈夫ですか?」


「あぁ、さっきの冒険者の・・・。」


「はい、アイネと申します!先程は助かりました・・ってあなたも凄い傷!!」

彼女も私によって、止血のための白い布が浸る程の出血をしている。

それを感じ取った私は歯を噛み締めた。

当然親友もそれに視線を向けた後、表情が少し曇る。


「うちの領主がすいませんでし・・・・っ。」


謝罪をしようと頭を下げた少女は、ゆっくりとそのまま気を失うように地面に倒れた。


「レノ!しっかりするにゃ!!」

「ご主人様!?」


私は親友を抱えて医務室に向かった。

彼女が目を冷ましたのはそれから2時間後のことであった。


「うぅ・・・っ・・・。」


「気が付きましたかご主人様!!」


「ここは・・・。」


「船内の医務室です。」

起き上がろうとすると背中に激痛が走った。

「いっ!!」


レアちゃんが私の背中を支える。

「まだ動いちゃダメですよ!」


「そうだよ、おねーちゃん!」


「あれ!?クッションは?」


「残党の殲滅に行きましたよ。」


「大丈夫なの?」


「本人がもう大丈夫って言ってましたから信じました。」


「そっか。」


私は彼女を信じて再び横になり、ゆっくりと目を閉じた。


貨物船から少し離れたクルーザーの船内では怪しげな男たちが話し合っていた。

リーダーらしき男が真っ赤な銃の弾丸を手に取り眺めていた。

「ふむ、ひとまずは成功だな。」


「はい。1匹の獣人で100名以上の冒険者の死亡を確認しております。

これで例の計画は完了するかと・・。」


「くくっ、これでアルドリア王国は我が物となる。」


「えぇ素晴らしいです。」


リーダーらしき男は弾丸を箱に戻すとゆっくりと蓋を閉じた。


「さぁ、帰還しようじゃないか。」


「はっ!」

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