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AI画像生成でキャラメイクして3Dプリントしたんですけど…?  作者: 塩谷 文庫歌


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6/8

【 Ex Nihilo Nihil Fit 】

「サイトごと消えてる」



 AI画像生成プログラム【 カルペ・ディエム 】と、それに連携している超常的なほど高性能すぎる3Dプリントについて調べてみると、これほどの結果に反して情報は極端に少なかった。


 海外の大学院で研究していたAIエンジンであること。

 民間企業の3Dプリントサービスと技術提携したこと。


 爆発事故で、御破算になったこと。



「あぁ、あの爆発事故~☆」


「 「 知ってるの? 」 」


「カンロが気付いた時、まわりは大爆発してたんです。体がほとんどありません、幸い材料はありました。回復魔法で作成して、こちらに転移しました~☆」


「体を作成?」

「材料は樹脂なんだよね?」



 ハッとして調べてみる、死者数は出てこない。


 ただ。


 大きな工場がひとつ、焼け野原になっている。

 そんな比較画像があった。



「ここにいた」

「嘘でしょ?!」



 無からは 何(エクス ニヒロー)も生じない ( ニヒル フィト)



 満面の笑みで、虚ろな瞳。


 これは作中、何度か出てくるセリフ。

 周囲の人間を何十人も巻き込んで、タンパク質に分解し、再構成して行使する、どんでん返しのための最低最悪の1手。


 肉体再生魔法「 永劫回帰 (リインカネーション)」に成功した直後の決めゼリフ。


 頭のおかしな魔法少女だから、ここなら、材料に事欠かない事故現場なら、残酷な蘇生魔法を併用して綺麗に出力できた。額に滲んだ汗が、ぬるりと滑り落ちていく、嫌な感触があった。


 性格まで設定どおりのカンロちゃん。

 躊躇せず死体漁り(スカベンジャー)ぐらいするだろう。



「魔法少女をプリントアウト、魔法だもんね」



 納得したように、大きく行方さんが頷いた。



「この技術は危険すぎたよ」


「行方さん……」


「結果的に良いことをした、でしょ?」



    ・

    ・


    ・



    ・



 行方さんは、魔法少女を連れて二人で帰宅した。

 一晩中まんじりともせず、布団の中で過ごした。


 もう何度目かもわからない、スマホの画面確認。

 特に着信音も鳴っていないし振動もしなかった。


 当然なにも連絡は届いていない。



 メッセージでやりとりはあった。

 会話したいと思っても、とても自分から切り出せなかった。

 ひょんなことから手に入れた番号、でも生活時間が想像できない……


 御迷惑かも、忙しい時間帯かも、遅いかも、遅すぎるかも、もう寝るころかも、寝てるかも、寝てるだろうと悩んでいるうちに、一周回って、今この時間は確実に迷惑以外の何ものでもない。 



「朝5時は、ないよなぁ」



 窓の外は白みだしてる。

 日が昇り始めたようだ。



 ベッドから抜け出すと、ギシリと軋む音。


 このベッドの足、確かに切断されていた。

 行方さんは、今も……無事なんだろうか?


 窓をカラカラ開いて、空気を入れ替える。


 あと2時間後には登校。

 眠気は無いが頭が重い。



「今日は学校、休んじゃおっかなぁ」


「仮病ですか? いけませんよ~☆」



 咄嗟に振り向いた。

 背に冷や汗が伝う。



「カンロちゃん」


「どうしました? まるで人殺しを見る目です~☆」


「どうして、ここに」


「最後に御礼を~☆」


「最後の?」


「あなたの作品、『絶望こそが蜜の味』があったから、私はこの世界に生を受け、こうして顕現することができました。それでも私が異物であることに変わり無い。御迷惑をおかけする前に、おいとまします」


「どこに?」


「さぁ……()()もない旅になるでしょうけど。幸い、設定していただいた魔法、いくつかは使えます。ですから、なにも問題ありませんよ?」



 少しだけひっかかる。


 このセリフ。

 天野カンロが話すとして、今の文章になるだろうか?



「最後に、ひとつだけ」


「はい? どうぞ~☆」


「君は本当にAIが生成して、3Dプリンターで出力された、天野カンロなのか?目の前で変身を解いた、つまり変身能力はあるんだ。不思議と服装がそのままで、作中の設定とは違う。中身はまったく別モノ、魔法かそれに近い能力を持ち、前々から存在していて、この状況を利用――――



 少し驚いた表情。

 すぐに口元に人差し指を立て、軽くウインク。

 天野カンロにはさせない仕草だと確信する!!



「カンロなら、ウインクしない」


「かも~?」


「君、何者?」


「私は魔法少女☆カンロ! 『絶望こそが蜜の味』の主人公で~す♡」


() () () () ……キャラクターを演じているわけだ。それが解答か」


「さぁ……どうでしょう」





 フッと肩のちからが抜けるのを感じた。

 どうも気の利いたセリフが出てこない。





「結果的に良いことをした……天野カンロはそんなキャラ、そうだろ?」


「ありがと~☆」



 満面の笑み、虚ろな瞳。


 僅かに俯いて、「この技術は危険すぎました」と呟いて。


 目の前で雲散霧消し、あとかたもなく少女は消え去った。







「カンロちゃん、良い旅を」


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