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AI画像生成でキャラメイクして3Dプリントしたんですけど…?  作者: 塩谷 文庫歌


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3/8

六畳一間の密室で

 よし、まずは落ち着いて整理しよう。


 小説投稿サイトのお友達ねこみうろん氏は、絵心が死んでるオレにメッセージでAI画像生成サービス『画像生成 ★ かるぱっちょ』を勧めた。


 その文面が残念ながらボロボロだったため、勘違いで自宅のPCへ配布されていたAI画像生成エンジン【 カルペ・ディエム 】をインストールしてしまった。


 ブラウザ上で気軽に使える『かるぱっちょ』。

 キーワードを列記してボタン一発、画像生成。

 反面、どうやっても修正できない部分が残る。


 【 カルペ・ディエム 】は違ったと説明した。

 その結果、この状況……



「へぇ~、これかぁ。なんかグッと本格的だよ」



 容姿端麗で才媛の同級生・行方さん(=ねこみうろん氏)が、学校帰りのオレに声をかけてきて、部屋について来て、興味深そうにモニターを見詰めて、事務的で素っ気ないインターフェースに目を輝かせている。


 いまだかつてなく近い。


 教室で同級生という位相空間じゃない。

 六畳一間の密室で、物理的な位置関係。

 距離が近い、近いどころか肩と肩がくっついている。


 細く尖った肩峰が当たる、気持ちいい。



「で……このAIの描いたイラストは?」


「こうなった」


「うっわーぁ」


「凄いだろ?」


「……趣味、丸出し」


「そっち――ぃい?!」



 やめろ、「ちょ、邪魔」見るな「いいから」見ないでくれ!「邪魔しないでよ、どこ?ここね」そこは駄目だ、触るな「あーもう!」……あ、オレ。行方さんの、手ぇ握ってる。


 手、小っさ。



「なによ!私も見せたよ!?」


「あ、はい。拝見しました」


「どぉれどれ。1つ目のキーワードは、魔法少女」


「すみません」


「アルビノ、貧乳、猫耳、小学校高学年、使い魔」


「あの! ……それ最後まで音読するんですか?」



 なんて目をするんだ。

 それは人殺しの目だ。



「なにか不都合でも?」



 静かにしてよう。



「モモンガ、大鎌、ニーソックス、ミニスカート、パニエ、パンティ、純白ときて見えそうで見えないギリギリの長さ。最後は、恥ずかしそうにスカートを押さえて少し怒った表情で耳が真っ赤。生成されたのは指定どおり、想像以上のイラスト。これは確かに凄いよ」


「だろ?」


「でもね。後半、目的が変わってるんじゃなくって?」


「市場ニーズに合わせて人気キャラの特徴を列挙した」


「で?」


「このとおりAIは破廉恥な妄想を。それだけのこと」


「AIが勝手にね~ぇ」



 真意を測りかねるとでも言いたげに、横目で睨んできた。


 行方さんは、知っている。

 俺の正体と秘密裏に進めている執筆活動を掌握している。

 キーワードを見られた今となっては、苦しすぎる言い分。

 後の祭りだった。



「これは一般的な魔法少女と言うより、毎夜毎晩投稿してる卑猥な魔法少女小説『蜜の味』の主人公、天野カンロそのものだよ?」


「すぐバレた」


「そりゃ自作品で試すでしょ、誰だって」



 行方さんは「んフッ」と小さく笑った。



「これが挿絵なら猥褻画像で掲載NGよ」


「ハッハッハ……すみません」


「よくもまぁ毎回オチは綺麗にまとめて、世は並べて事も無しで終われるよね」


「結果オーライの世界なんで」



 いくつか『画像生成 ★ かるぱっちょ』には無かった機能を試していて、不意に比較的目立っていた1つのボタンを指差し、「これは?」と、首を傾げた。


 インターフェースは自動的に日本語翻訳された。

 それだけは完全な画像、英語表記になっている。



「それ3Dプリント」


「三次元で、印刷?」


「たぶんだけど、3次元データを生成してから、イラストをレンダリングしてる。だから異常なほど精度が高い、これは画期的なんだ」


「画期的?」


「AI画像生成は()()()()()()()()()()()()()、イラストの要素を学習して急激に上達していく。反面、氾濫するパターン化されたイラストは飽きも早い」


「でもカルペ・ディエムは、そうじゃないのね」


「2次元から3次元データ化する技術もあるけど。左右対称のパーツ、影の正確さ、立体物の出力を頼めること。()()()()()()()()のサービスじゃないかと思う。光造形や粉末じゃなくって、価格の安い樹脂造形かな?」


「樹脂?」


「ほらここ。9$って千円チョイ。いくらサービス期間でも手間賃にもならない。気軽にオリキャラをデザインして3Dプリンターで出力、全部ひっくるめて売り物にする会社なのかも。本格始動したらフィギュアなら高い、軽く10倍以上するのが相場だから、先行投資かな?」


「すごいなぁ、頭の良い人は違う」


「まったく凄いこと考えるよねぇ」


「じゃなくって……あ、あれれ?」



 ……って。


 PCの様子がおかしい。



 猛烈に回転を始めた空冷ファン。

 高周波な音が甲高くなっていく。

 咄嗟に本体を触ってみると、異常な発熱。

 すぐにグリスの焼ける匂いが漂ってきた。


 画面を見る。


 3Dプリントのボタンが直前と違う。

 このソフトウェアはβ版、なにか不具合が隠れていた?

 その程度でこれほど負荷はかからない、明らかに異常。



「パソコン、ヤバいな……」


「ご、ごめん」



 ハッとして、マウスを見る。

 行方さんの手、人差し指が震えてる。


 左クリックをしたまま、固まってる?!


 ショートカットキーでソフトを終了、タスクマネージャー起動、どれも無反応、インストールするために昨夜セキュリティレベルを落とした、今は戻してあるけどネットに接続した状態、まさかとは思うけど……



 クラッキングを受けてる?


 画面が暗転し「ゃ」と極々小さな声。


 こんなパソコンの暴走、初めて見た。

 どうすればいい?

 ……回線を遮断。

 それなら簡単ッ!



「ほい、電源OFF」


「えっ? 止まった」


「や~焦った焦った」



 かなり本体が熱い。

 ハードディスクなら、終わってた。

 内臓SSDにしておいて良かった。


 今日は徹夜で原因究明かぁ。



 ……って?



「泣いてるの?」


「泣いてないよ」


「怖かったのか、もう大丈夫だから な、んだッ!?





  ドッ バ……ァアン!!!!





 轟音と共に爆発したノートパソコン。

 白煙に搔き消された、行方さんの姿。

 茫然と眺めるだけのオレ。



 窓の隙間から徐々に排出され薄くなっていく。

 すぐ近くに人影があり、安堵の溜息をついた。


「行方さん……良かった……ッゲ、ゥゲフッ」


 そのまま煙を吸い込んだ。

 科学的な薬品が喉を焼く。

 激しくむせる。



 次に顔をあげた時、()()は、()()()()に増えていた――――

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― 新着の感想 ―
[一言] モモンガ、大鎌、ニーソックス、ミニスカート、パニエ、パンティ、純白ときて見えそうで見えないギリギリの長さ ↑正義です!
[良い点] くすっと笑えてほっこりできる、そんなところが素敵ですね。 ところどころ、ネタが刺さります。(良い意味です) 「アルビノ、貧乳、猫耳、小学校高学年、使い魔」  ↑とても個性的です。( *´…
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