THE WILLARD<ザ・ウイラード>
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自分がウイラード<THE WILLARD>と出逢ったのは確か十代になったばかりの頃だったように思う。
自分には七歳上の兄がいたのだが、何にでも興味を示す自分を面白がって自分に色々と聴かせてきたのだ。当時のロックシーンで流行っていたものはかなりの数を聞かされたと思うが、ウイラードもそんなバンドの内の一つだった。
八十年代当時、インディーズ御三家、と呼ばれたバンド達が居た。インディーシーンで当時一番熱い三バンドを称したものであった。そのバンド達が、ラフィン・ノーズ、有頂天、そしてザ・ウイラードの三つであった。
最初の印象はとにかく格好良かった。前奏がダイナミックで物語を感じさせ、歌が始まれば声に魅了された。曲を聴けばメロディアスな旋律が心を掻き立て、歌詞を聞けばその世界に圧倒された。
たちまち、自分はウイラードの虜となったのだ。
ウイラードの紡ぐ物語のテーマは様々である。ファンタジックな神話世界、オカルティックな夜の住人、スリル溢れる裏社会、夢を掲げる海賊、一攫千金を狙うガンマン、疾走するライダー……。
しかし自分は何よりも、ウイラードからピカレスクロマンを教わった。
吸血鬼、悪魔、悪霊、闇に溶けるあやかし達。或いは海賊、西部の荒くれ者、列車強盗。闇社会を往くギャング、マフィア、暗殺者。正気と狂気の狭間で笑う殺人犯、脱獄囚、犯罪者達……。
そのような夜を行く、闇を往く物達の浪漫を、悪の美学を、洗練された曲と低く響く歌声で紡がれて、自分はどっぷりとその物語に浸かったのだ。
ひとたび曲が流れ出せば──。
「さあ夜に向けて引き金を引け。奴は闇に紛れてやって来る。靡かせたフロックコートを撃ち抜いて、一泡吹かせてやろうじゃないか」
──そんな物語が始まるのである。
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今回のお薦め曲
THE WILLARD
『RISING RIDER DRIVE』
『PUNX SING A GLORIA』
『OUTLAW』
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初回はウイラード。何よりも自分にとって一番影響を受けたと思われる、一番好きなバンドだ。
こんな風にぼちぼち、書いていこうと思う。
今後もお付き合い下されば嬉しいのである。
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