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四季の色
花びらが降っている
足元 敷き詰められていく
スズメがくちばし動かして
がくごと花を落としていく
ひとつ拾って栞にしよう
葉が透き通っている
まぶしい道が揺れている
どこかで蝉が鳴きはじめ
束の間 静寂を埋めていく
日傘をもっと傾けよう
金木犀が香っている
空が高く澄んでいる
冷たくなった風に吹かれ
長い袖に手を隠す
夜には月を見上げよう
粉雪が舞っている
手のひらの上で解けていく
小さな子供が公園に
はかない足跡つけていく
もう少しだけ外にいよう
春は桜色の中に
夏は若竹色の中に
秋は黄金色の中に
冬は錫色の中に




