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グレイ
グレイに混じるまぶしさが
まぶたを揺さぶる
そっと目を開けると
慣れたはずの白い部屋
クリーム色の陽射しが
床に絵を描いている
カーテンの端を持ち
眠りづらいあの人を
起こさぬように引っ張る
脱げにくい靴に指を当て
寝返るきしみを聞いていた
振り返るとテーブルに
食事が届いていた
腕の痛みを忘れるように
めぐる月日を忘れるように
きっと返事をしたのだろう
グレイに混じるまぶしさが
まぶたを押さえる
扉が開くように
白い光が広がっていく
もうシーツの上の冷たい場所を
かかとのふちで探せない




