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Not Enough
昨夜の風は生ぬるくて
冷えたからだにちょうどよかった
絶え間なく虫の歌が
公園から聞こえていた
また涼しい部屋に帰れるのが
嬉しいような寂しいような
普段 話さないクラスメイトと
仲良くなってさよならするのが惜しい
放課後のような気分だった
歩きだして立ち止まって
振り向いて歩きだす
何度も繰り返しながら
少しずつ諦めた
常夜灯で浮かび上がる
昼間と違う顔をした道
静けさだけが心を
私に帰らせてくれる
いつでもできると思っていても
いつもそうしたい私じゃない
気づけば失ってることばかり
だけどその都度さよならするのが怖くて
またいつかって魔法をかける
できればずっといたいけど
いられない気がするよ
もう十分が来ないまま
急かされて諦める
探しものがまだあるなら
好きなだけいればいい
何のために歩きだして
何を落としてきたの




