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MERCURY
図書館のずっと奥の
埃かぶった棚の隅
分厚い惑星の本を
手に取って座り込んだ
誰も近寄らないから
秘密基地みたいだった
休み時間に少しずつ
どうしても読みたいんだ
本を開いた瞬間
輝く小窓が開くよ
文字の案内人が
まだ知らない世界の
ひとりだけの道を照らすよ
雨の日は混んでいるから
入るまで落ち着かない
今日は水星の綴りを
覚えて帰りたいんだ
本を開いた瞬間
ざわめきが吸い込まれるよ
色のない惑星が
クルクルとまわりだし
夢から救ってくれるよ
本を開いた瞬間
輝く小窓が開くよ
文字の案内人が
僕のいるべき場所へ
ふわり連れて行ってくれるよ




