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FLAG
ここにいるよと伝えたくて
店にフラッグを立てた
どんなことでも二人ならば
乗り越えられると思った
友を救う夢ばかり見て
君をないがしろにした
誰かが立ち上がらなければ
手遅れになると思った
僕らがこうしていられるのは
彼らがずっと闘ってきたから
何もかも人任せにして
自分だけ幸せになれなかった
ガラスの破片を拾いながら
君の背中が震えていた
次は火炎瓶かもしれない
君が小さくつぶやいた
まとめられた荷物の山を
何も言えずに眺めていた
笑顔の消えた君が最後に
自分を生きてとつぶやいた




