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11月の嘘
カーテンの隙間から
何度通りを見下ろしたかしら
冷めたスープと空のグラス
好きな本でも読んでいるわ
あなたがひどい人だから
私もひどいことができる
あなたがもっと優しいと
私はそばにいられない
聞いてもいないことを
コート脱ぎながら話してくれる
赤い耳は11月の
夜風のせいではないみたい
あなたが嘘つきだから
私も嘘つきになれる
あなたが誠実だったら
私はそばにいられない
あなたは私に悪意があると
わからせる鏡ね
あなたがひどい人だから
私もひどいことができる
罪の心を抱きながら
死ぬまでそばにいるでしょう




