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チューリップ
チューリップの香りが
漂う花壇のそばで
君が手を握った
わけは聞かないまま
誰かと出会ったら
本当よりもっと近づく夢を
見ると決めている
友達になったり
恋人になったり
旅をしたりするよ
チューリップの香りを
もう少しかいでいたい
君が手を放して
どこかへ消えるまで
誰かと出会ったら
本当よりもっと先まで夢を
進めてみたくなる
いつでも帰れるし
ひとりにもなれるし
死ぬこともできるよ
チューリップの香りに
世界が吸い込まれていく
君の小さな手を
ぎゅっと握り返した




