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物語のように
クロームイエローの視界が
涙に沈んだ秋
あの人の瞳に
もう愛はなかった
それでもどうにか引き止め
振り向いてほしかった
だけどもう心は
誰かのものだった
今ほど幸せが何かを
わかるときはなかった
生きているかぎり
悲しみはつきものと
強がってみせるの
物語のように
人をどれだけ騙しても
自分に嘘はつけない
あの人を忘れて
もう生きていけない
今ほど優しさがつらいと
思うときはなかった
憂鬱のままでいい
不幸のままでいい
私にはそれしか
残されていないから
生きているかぎり
悲しみはつきものと
強がってみせるの
物語のように




