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時はいってしまった
明るいレストランの窓から
ひとり凍った街を見ている
テールランプは催眠術
前にもどこかでこの景色
この時間に出会っていた
恋とは知らずに感じていた
あの甘い心地よさ
今ならはっきりわかるのに
時はいってしまった
にぎわうフロアを見渡せば
誰かの気配にほっとする
スープの湯気は蜃気楼
散らばる思い出のかけらに
あの時間が映っていた
恋とは知らずに見つめていた
君のまぶしい瞳
同じ夢を見てるあいだに
時はいってしまった
寂しささえもいとおしいのは
君と出会ったから
今ならはっきりわかるのに
時はいってしまった




