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空をゆく頃
秋の朝
小さな庭に出て
風をすった
名も知らぬ鳥が
ザクロの木の枝で
鳴いていた
最後まで好かれることが
できなかった人
あなたの残していった
すべてを燃やそう
無邪気な笑顔がいくつか
浮かんでは消えた
悲しくて
今日は来なかったと
噂している
そんな友達に
何も変わらないと
電話した
半分脱ぎかけた靴を
高く飛ばした
あなたの顔も声も
しぐさも忘れて
今日からどこへでも遠くへ
やっと飛び立てる
あなたの残していった
すべてを燃やして
灰となって空をゆく頃
やっと許せそう




