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エトランゼ
暖色のライトの下で
宛のない手紙を書くの
カーテンを閉めれば
どこでもないコンパートメント
あの人と旅したかった
でもそれは叶わなかった
いとしい悲しみ
まだどれくらい待っているの
ホテルの外ですれ違う人は
不思議なヘブライ語
写真で見たコバルトブルー
あのビーチまで誰か案内して
もう二度と来れないような
きっとまた来られるような
そんな場所ばかり
そう思う私でよかった
トルココーヒーの香り漂う
カフェを通り過ぎて
細い路地を少し行けば
華やかな布が目を引くスーク
夕暮れに沈みゆく石造り
灯る窓の明かり
ここはまるで童話の国
星空を魔法使いが飛びそう
帰りの飛行機の中は
曇った空と雨のよう
でも知っているの
まだ恋しいくらいがいいと




