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秋の終わり
君が今もあの日に
別れた街で暮らしていると
誰から聞けばいいの
白い息がとけゆく
冬近い夜の大通り
夢だけをたずさえて
秋のにおいがどうして
あんなに寂しかったの
卒業という言葉で
もう諦めたりしない
君が今もあの日に
縛られているはずがないと
本当はわかっているの
信号で止まるたび
ここにいられないと思うのは
みんな赤く染まるせい
秋のにおいがするたび
誰でも寂しくなるの
思い出は心の絵の具で
何度でも塗りかえられる
秋のにおいはどうして
人を寂しくさせるの
卒業という言葉で
もう諦めたりしない




