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駅まで乗せて
陽射しがクルクルまわって
花びらのように落ちてくる
キャンパスのテラスで
君とはじめて会った
コーヒーの香り漂う
最近入った人気店
そろそろ帰ろうと
席を立ちかけたとき
駅まで送ってゆくと
はずんだ声色
バスで帰るからと
笑って別れた遠い秋
一緒にいた友達が
少し強引に引き止めた
テーブルの紙コップ
みんな片手に持って
悪い人じゃないことは
瞳としぐさでわかった
それなのにあのとき
何におびえていたの
親指でうしろをさして
誘ってくれたね
おどけていた君に
背中を向けた遠い秋
バスで帰るからと
笑って別れた遠い秋




