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太陽にさよなら
強い夕風が吹いている
白い砂浜
寂れた駅も店も
すべてそのままだった
耳をすませば波の音が
あの日にいざなう
それは君をなくした
悲しすぎる秋の日
僕を守るためなんて
言わないでほしかった
また細くなった君が
声も出さず泣いていた
シーズンオフの海のにおい
あの日と同じ
照りつける太陽に
さよなら告げる季節
抱きしめることもできた
倒れそうな背中
そばにいてとどうして
ひとこと言えなかったの
移りゆく夕焼けの色
影をまとう横顔
また細くなった君が
声も出さず泣いていた




