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ラ・ルーナ
君を部屋に呼んだのは
あることを確かめるため
肩越しの水槽の中
熱帯魚が泳いでいる
あの海に沈んでゆこう
愛されることが
愛することより
多くあらねばならない
死ぬほど抱きしめわからせて
バニラ色のシーツから
センシュアルな香りがする
満たされた思いはすぐに
虚しさへ姿を変える
光を途絶えさせないで
生きているかぎり
僕はいつだって
月であらねばならない
太陽であってはならない
最初から怖れのない
箱庭の中でだけ
僕は僕でいられる
愛されることが
愛することより
多くあらねばならない
眠りにつくまでわからせて




