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Garçon
短編集片手に立ち寄ったカフェ
「幸せはいつも今だけのもの」
最後のセリフを繰り返す
無愛想なGarçonが冷めた瞳で
まずそうな水とメニューを置いて
人形のように去っていく
さっそく上着を脱いで
アピールするよ
決まってないのに手をあげる
君に気づいてほしいんだ
立てた髪が素敵だね
これからどこかへ行かないかい
隣の恋人たちのフォークが止まる
めずらしいかい すぐに慣れるさ
早く選べと急かす君
アドレスを手の中に
忍び込ませた
Café au laitでも注文するよ
君に届けてほしいんだ
甘い声が素敵だね
一度でいいから微笑んで
First Nameを教えてよ
君の素顔が見たいんだ
きっとこれは奇跡だね
これからどこかへ行かないかい
もうすぐ二人は喧騒の中
「幸せはいつも今だけのもの」
気取っていると逃げちゃうよ




