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春を渡る風になるから
どこまでも落ちていきそうな夜は
僕が毛布になってあげよう
ひとりになりたいときがきたら
僕は外の桜になろう
春がきたらそっと咲けるように
いつも強い人なんていないから
つらいなら呼んで
静かな木漏れ日になるから
すべてを打ち明けなくてもいいから
つらいなら呼んで
春を渡る風になるから
世界中が敵に思える夜は
僕が白銀の盾になろう
誰かを切りつけたくなったら
僕は風の剣になろう
君がもっと傷つかないように
いつもあたたかい人なんていないから
寒いなら呼んで
庭の忘れな草になるから
何も言葉にしなくてもいいから
寒いなら呼んで
春を渡る風になるから




