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晩秋のシンフォニー
何もかも許せると
思うときがあるの
旅先で出会った
一枚の絵葉書
沖をゆく船と
高く澄みきった空
ひとりの午後
庭の葉は赤く染まり
ゆらゆらと燃えている
帰る子供や鳥の声
グラスのそよぎが奏でる
晩秋のシンフォニー
葡萄色のシーツが
風にはためいている
忘れかけた夢と
色褪せた恋を
空まで運んで
誰かに話せるまで
ひとりの午後
庭の柿の木は実り
ゆらゆらと揺れている
すべる枯れ葉や鐘の音
鈴虫の羽が奏でる
晩秋のシンフォニー
庭の草花を眺めてゆっくりしたいです。




