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言葉にできない
あの森を見て
森とわかるのが悲しい
あの海を見て
海とわかるのが悲しい
森を海と思えたら
どんなにいいだろう
あの森を見て
森と言えば欠けてしまう
あの海を見て
海と言えば欠けてしまう
その破片を集めても
言葉にはできない
深い記憶の
底まで潜っていきたい
夢見る前の
世界に潜っていきたい
名前も知らぬ瞳に
何が見えただろう
はじめての風
わからないことが嬉しい
はじめての声
わからないことが嬉しい
名前を見つけられたら
どんなにいいだろう
名前をつけずにすめば
どんなにいいだろう




