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パラソルの下で
黒い影が波間に消えては現れ
しだいに白い泡にみんな飲み込まれ
潮の香りと砂と
暑さだけが残った
ボードを抱えて帰るあなたに
帽子を振って迎えるつもり
まぶしくて何も見えなくても
私ができる最高のこと
触れられるのが怖くて
あなたの告白 風にまかせた
君からくればいいよと
焼けたサーファー
沖を見ていた
パラソルの下で待つ私などきっと
あなたにはつまらない
だから水玉のワンピースひるがえし
ひとり夏と踊るの
夕空の下 本当は
恋人みたいに見つめ合いたい
首筋をつたう水と
二人のこと
思いながら
触れられるのが怖くて
あなたのしぐさに風を感じた
そばにいるだけでいいよと
焼けたサーファー
沖を見ていた




