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冬をとかして
どこにも行きたくない
そんな1月の午後
それでも連れ出そうとする
君につい流されて
店の中は満席
テラスでもいいよねと
聞いてくる君が好きだよ
寒いけれどしかたない
粉雪が降ってきて
君の髪にとまった
コーヒーの香りが
冬をとかしていった
みんなが同じような
恋に溺れていても
君は今のまま自由に
夢を追いかけていて
結晶が光っている
君のまつげの先で
はかないイリュージョン
冬を包み込んでいた
粉雪が降ってきて
また少し寒くなった
貸してくれたマフラー
冬をとかしていった




