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出会いはいつも一度きり
懐かしさに誘われて
列車に飛び乗った
窓の向こうは夕立
傘を持たない人が
急ぎ足で歩いている
駅に着くたびあなたが
乗ってこないか期待している
思い出だけが恋人
そのときは追いかけずに
時が経ってから会いにゆくの
雨と草のにおいが
ドアから入ってくる
昔のあなたに似ている
学生が席を立つ
私も降りていた駅
泣くほどではないけれど
誰にもわからない苦しみ
もう一度出会えたなら
今度こそ追いかけて
またはじめから知り合えるの
出会いはいつも一度きり
次に会うときはもう
あなたはきっと知らない人




