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雨のストレンジャー
雨の日が好きなのは
傘の下に隠れられるから
友達が前から来ても
そのまま通り過ぎるのさ
人気者のあの子なら
傘を振って駆けてゆくだろう
濡れた道に涙ひとつ
こぼして通り過ぎるのさ
どうか僕だと気づかないで
今は見知らぬ誰かを
ひたすら演じているから
雨の降る角度も
時折強まるはじく音も
水溜まりの深さだって
本当は言われて気づきたい
それより知りたいのは
君が夢中になれることや
幼い頃の出来事や
君の中の僕のこと
どうか何にも気づかないで
今はゴーストになって
透き通っていたいから
どうか僕だと気づかないで
今は見知らぬ誰かを
ひたすら演じているから