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白い息
公園にさす夕陽が
今日の終わりを告げている
君はまだいいのと見上げる
いいよ まだ遊ぼう
ブランコがいいかな
滑り台がいいかな
君は大変な悩みごとを
抱えてしまったみたいに
口をとがらせている
すぐに流れる時間は
雪のはかなさに似ている
僕が忘れてきた世界の
いくつかを教えて
行っては帰ってくる
丸くて小さな背中
君は透明な高鳴りを
空のほうへ放つみたいに
大きく笑っている
ずいぶんと暗くなったね
明日 また遊ぼう
氷のように冷たい手が
とてもかわいそうに思えた
そっと息を吹きかけたら
白い息はすぐに消えて
あたたかさも一緒に消えた
りんごのように赤い頬が
とてもかわいそうに思えた
そっと両手で包んだら
まっすぐ見つめる瞳に
小さな僕が映っていた