297/866
白夜
こんな姿を誰にも
見せてはいけないと思った
陽の当たらない部屋で
毎日同じことを思った
季節を教える風も
笑い声くらい憎かった
畳みかけていた服
放り出して今駆けていく
誰もが年を取って
消えていくと信じていた
若くして消える命も
あると知って白夜の中
もう友達はいらない
恋人だってどうでもいい
寂れた公園まで
よれたシャツで今駆けていく
誰もが列をなして
消えていくと信じていた
一瞬で消える命も
あると知って白夜の中
もう前の暮らしの上に
いつでも降り注いでいた
星の光は見られない




