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夏の忘れもの
残暑は夏の忘れもの
気がついて追いかけても
振り返って微笑むだけ
彼岸花が揺れるだけ
もう帰れない日々があって
これから始まる日々がある
涼しくなった風の中に
新しい出会いの予感
けれどそばにいてほしい
残暑は秋の子供たち
両手を広げていても
そばで駆けまわってるだけ
すぐに帰っていくだけ
まだ待っている日々があって
探していきたい日々がある
涼しくなった風の中に
新しい出会いを祈る
けれどいまだ恋しくて
残暑は夏の忘れもの
誰も拾ってくれない
みんなひとりずつ落として
拾われない忘れもの




