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百日紅
君と歩いた公園が
もうすぐなくなろうとしている
汚れたベンチを手ではらい
走る子どもを目で追った
気がつけば百日紅
また花を咲かせている
季節はめぐり
君が去って8度目の秋
狭い空の色がまた
心をおいて深くなる
駆けまわる犬におびえて
ジャングルジムにのぼった昔
今は淡々と過ぎてゆく
時の流れにおびえてる
友の幾人かはもう
生きていかないと決めた
あの日君から
電話があったと知っていた
かけ直さなかったこと
もう忘れてもいいですか
季節はめぐり
君が去って8度目の秋
空よ夕陽をとどめて
薄紅に染めたまま




