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空と雲と風と
自転車を乗り捨てて
飲み終えたボトルに
砂をつめてオニを決めた
強い風が帽子を飛ばす
空を舞うビニール袋
追いかけたら三日月
もう顔を出していた
薄い雲の流れ
アパートは夕陽色
果てしなく遠いものが
どうしてこんなに気になるの
友達を呼ぶ声は
帰り時のサイン
誰も気づきたくなかった
みんな自転車にまたがって
高いベランダを見上げて
泥だらけの手のひら
振り返してこぎ出す
公園の落書き
明日まで残らない
どんなに残したくても
いつか風がさらってゆくの
走っていく背中
寂しげな夕陽色
果てしなく遠いものが
ときどきいちばん気になるの




