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ホーム
町からはるかに遠い
緑と風のバス停
降りればすぐそこ
私の小さなホーム
庭にいつも誰かいて
おかえりの声がする
バターの香りに
吸い寄せられてリビング
またひとり歩けなくなり
恋しいものが増えていく
生まれた町のにおい
次の夏が来る頃は
この顔ぶれも変わる
連れ戻されて
会えなくなる人もいる
どんな生き方だったか
余計なことは聞かない
ただここにいたい
それだけあればいいから
次は誰が旅立つのか
考えたくないことばかり
夕陽の窓に映る
幼い自分が手を振る
誰にも見えない幻
淡い光の中に




