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帰り支度がはやる頃
忙しくなればなるほど
胸の真ん中が苦しくなる
映画もゲームも読書も
最後にしたのはいつだろう
高い窓から見下ろせば
ビルに夕陽が映っている
だけど心は動かない
帰り支度がはやる頃
僕だけパンを買いに走る
おつかれさまという声に
つられて帰ればいいものを
昇進だけを夢に見て
みんなうまく立ちまわっている
僕に面倒な仕事を
毎日毎日押しつけて
ネオンに浮かぶ人たちが
大声出してうかれている
子供の頃に戻りたい
ディスプレイに映った顔
何か言いたげに見つめてる
おつかれさまといちばんに
響かせ帰ればいいものを
帰り支度がはやる頃
僕だけパンを買いに走る
おつかれさまという声に
つられて帰ればいいものを




