219/866
LAKEBED
薄暗い湖の底
小さな泡がのぼっていく
ただひとつわかること
僕だけ沈んでいること
寂しさはとけていった
残っているのはあの日
放り込まれたあの日
助けは来ないと知った日から
砂に埋もれて眠っている
上がってこいよと氷魚が
小さな尾びれ差し出してる
それじゃあ上がれないよ
一緒に沈んでいくだけ
優しさはとけていった
残っているのはあの日
愛されていたあの日
助けにならない声ばかりが
水面のほうから聞こえてる
助けさえぎる大きな波が
水面の近くで暴れてる
もう帰れないと知った日から
砂に隠れて眠っている




