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おくりもの
小さな橋の上は
潮風の通り道
濁った水もじき
海へ流れてわからなくなる
通り過ぎる車は
きっと遠い親戚
小さな村だもの
出会っていたって不思議じゃない
あなたが消えてしまった日
私も消えようと思った
慰めてくれる言葉など
周りに何ひとつなかった
知り合いだらけの村は優しい
昔 誰かが言ったけれど
朝もやが晴れていく
心だけ置き去りで
君はあの人のこと
もう覚えてなんかいないよね
通りがかる人が笑う
おぶった君のほうを見て
どこまでも落ちていきそうな
私を救ってくれたのは
朝陽を取ってくれようとした君
もう消えようなんて思わない
思えばいつでもすぐそばで
私を救ってくれていた
朝陽を取ってくれようとした君
もう消えようなんて思わない




