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Name
気づいたときにはもう
私に名前がついていた
そんなものだと微笑んで
声のほうへ駆けだした
ある日あの子の名前で
無性に呼ばれたくなった
何度もノートに書いていた
私は名前をつけることができる
けれど自分につけることはできない
誰かが勝手に決めて呼ぶ
私は嫌でも振り返る
気づけば好きでもない
あいつの名前がついていた
そんなものさと笑われて
風のように過ぎていく
ある日おまえの名前は
私がつけたんじゃないと
投げ捨てるように言われた
誰でも名前をつけることができる
けれど自分につけることはできない
私が勝手に決めて呼ぶ
誰かが嫌でも返事する
私は名前をつけることができる
けれど自分につけることはできない
私の名前を決めさせて
私の名前は私のもの




