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明日
静まり返った教室に
さようならを告げに来た
机の傷や壁のしみ
橙色に染まってる
慣れ親しんだチョークの文字が
涙越しに揺れている
忘れ物が多かった
君の席に座ってみる
机の中をのぞいたら
消しゴムがひとつ残ってた
貼られたままのポスターは
誰がはがしに来るのだろう
廊下で会えば立ち話
そんなこともできなくなる
あたりまえだと思っていた
何もかもが消えていく
あの楠の下の風
砂埃さえ思い出になる
出会いはいつも何でもない顔で
寄ってきては背中を見せる
ありがとう そばにいてくれて
明日 君に伝えよう