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第8話 最悪の晶国

 エレノアは窓から少しだけ顔を出すと恐る恐る下を見た。あまりの高さに背筋が泡立ち、慌てて顔を引っ込める。

 冷たい風が吹いて顔を顰めると、乱暴に窓を閉めた。


「なんてところに城を作るのよ……」


 あまりにも高い場所で風景を見るのも怖い。それに寒くて仕方ない。この水晶宮という城はやたらと寒い。廊下も部屋もとにかく寒い。部屋は嵐とかいう者に言ったらどうにか暖かくなったが、他はどこもかしこも寒いのだ。

 ルカも寒いと言っていたが、鈴は平気な顔をしている。「ここに住む者は皆、あまり寒がりじゃないので」と言っていたが、限度があるだろう。

 それにと、エレノアは部屋を見渡す。

 エレノアに与えられた部屋は質素な部屋で、美しい装飾など皆無に等しい。煌びやかなエクール城と比べると、雲泥の差だ。エクール城は壁や柱が金や銀で装飾され、巨大な絵画が飾られ、どんな季節でも花の飾られた廊下には、いつでも甘い匂いが満ちていた。

 華やかな城で生まれ暮らしたエレノアにとって、この質素な部屋は使用人部屋のようにしか見えなかった。

 何もかもに文句はあったが、それよりも考えなくてはいけないことがある。


「わたくしの他に4人の妃……」


 一夫多妻制なんて今も信じられない。それでも晶国はそれが普通というなら飲み込むしかない。

 なにより皇帝はとても美しく、初めて自分に釣り合う人が現れてくれたと思えた。


「邪魔ね……」


 酷い口を聞いたのは華露皇貴妃と言うらしい。その上に皇后がいるが、まだ姿は見ていない。

 4人の妃がいなければ、自分はただ一人、あの麗しい皇帝の妻に、皇后になれる。


「考えなくては……」


 まだ何も分からない。けれどどうやら簡単にはいかないらしい。


「わたくしは今まですべて手に入れてきた。できない訳がないわ」


 エレノアは不敵に笑うと、これからの作戦を練ることにした。

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