交錯する生者 4
(前ページより)
*
一日の半分を過ぎ、誰もが昼食を取り始めるであろう時間の頃。
少年は図書館の玄関を潜った。
あの後、少年は町中をさんざん徘徊し、交差点でようやく見つけたガイドロボを利用し、怪訝な態度を取られ不審者を見る目をされかけながらも、地域案内サービスの施設検索機からこの図書館への正確な道順を教えてもらったのだった。
大幅に苦労した所為か、自然と悪態が思考の中を満たしていった。
全く、これ一つ探すだけで、随分と時間を割いたものだ。いつもだったら既に着いてた筈だったんだが。事の原因は分かってる。あの婆さんの所為だ。直ぐ人の所為にするのは良くないっていうのは分かっているが、今回はどうだろう。
確かに俺があの婆さんに訊いたのが問題だったかも知れない。いつもなら、Self do,self haveだ、と済ますところだ。
だが…。
図書館と本屋を同じ物だと思ってる奴がどこに居る?
パトラズに愚痴を零せば、「さっきの婆さん」と屁理屈を言う確率が高いだろうが。
兎に角、疲れた。随分と歩いたから暑いし熱いし余計な汗をかいた。路上にいる店員に顔を覚えられたのではないかというくらいぐるぐる廻る事にもなった。もう二度とこんな事がない事を願いたい。
この図書館が冷房完備で本当に良かった。体温調節は出来るが、空気の温度で涼しくした方が楽だ。
少年は館内に歩を進め、目的の本があるであろうそのジャンルで集められた区画に行った。
少年がここの構造を知っているのは、以前に来た事があるからではなく、玄関を入ってすぐにここの構造とジャンル分けされた配置が書かれた地図があったからだ。それが無かったら、今になっても外と変わらず徘徊していただろう。
少年はここの館長の親切心に感謝しつつ、建物の側面に向かった。
Self do,self have.
「身から出た錆」