【漫才】UFO・遭遇戦
ボケ・ツッコミ「どうもどうも!」
ボケ「この前夜散歩をしていた時のことなんですけどね。こう歩いていたら、南の空に何やら不自然に動く光を見つけたわけです」
ツッコミ「ああ、あれですか、所謂UFOというヤツですね。それは珍しいものを見ましたね」
ボケ「いやぁ、ホントびっくりしたんですよね。幸いにも、何もなくてよかったんですけど、それは今回が偶々だったかもしれない」
ツッコミ「映画なんかだとUFOが突然襲ってきたりしますものね」
ボケ「そうなんです。そんな時、僕たちはどうしたら良いのでしょうか?」
ツッコミ「いや、まあ、その時は一般市民は逃げ惑うだけじゃないですか? 自衛隊とか、何とか軍とかが戦ってくれるんだと思いますよ?」
ボケ「全面戦争になれば、そうかもしれないですよね? でもね、個人攻撃だったらどうします?」
ツッコミ「個人攻撃?」
ボケ「ある日、夜道を歩いていました。するとUFOが現れました! UFOはどうやらやる気らしい! こんな状況にもしなったら……」
ツッコミ「いやそんな状況ある?」
ボケ「怖い、怖いわ、UFOと平和ボケが怖い!」
ツッコミ「そこまで怯えなくても、っていうか、サラッとディスらないでもらえます?」
ボケ「もし、UFOが戦いを挑んできたら……逃げるわけにはいかないじゃん?」
ツッコミ「普通に逃げた方がいいと思うけどね」
ボケ「でも、逃げないで戦うとすれば、どんな風に戦ったらいいのかわからない……ほら、僕、変身もできないし、巨大ロボットもないし、魔法も超能力もないじゃない?」
ツッコミ「ごく普通だよ、落ち込まないでいいよ」
ボケ「それでどうやって戦ったらいいか、ちょっと考えて来たので見てもらってもいいですか?」
ツッコミ「えっ? 考えてきたの? マジで?」
ボケ「ええ、三日かけて考えましたよ。こういう重要なことはみんなで情報共有しておくことが大事じゃないですか」
ツッコミ「ずいぶん無駄に三日を費やしたんですね」
ボケ「まずはUFOと遭遇する状況を考えるに、おそらく夜が多い」
ツッコミ「もう話は始まっているんですね」
ボケ「夜間迷彩なんかの装備がほしいところだけど、戦いは所謂偶然性の高い遭遇戦になるでしょう。ということは、こちらには充分な準備ができていない可能性が高い……」
ツッコミ「充分な準備ってのが気になりますが、まあおそらくそうでしょうね」
ボケ「つまり頼れるのは、この肉体一つ! 路上のケンカの正統はいつの時代もステゴロです! つまり素手での殴り合い!」
ツッコミ「UFO相手に!? 無理無理! 逃げの一択でしょう!」
ボケ「迫りくるUFO! それを華麗なステップで避ける!」
ツッコミ「ええ!? UFOは体当たりしてきてるの? 光線とか発射してくるんじゃなくて?」
ボケ「もしUFOの攻撃が当たれば、僕なんか一瞬にして再起不能! チャンスを伺いながら、まずはしっかり防御に回る!」
ツッコミ「っていうか、チャンス伺えます!?」
ボケ「戦いは熾烈を極める。一度火蓋が切って落とされたら、お互いに引くことできない! 勝負はどちらかが倒れるまで続くと直観的に悟ることになる」
ツッコミ「それ、UFOも思っているんですか?」
ボケ「やがて僕の華麗な回避の連続に、猛攻を見せていたUFOのスタミナが切れ始める……」
ツッコミ「UFOの、スタミナ? えっ? そういうシステム? 燃料が切れるんじゃなくて?」
ボケ「でも、ここまで回避を続けていた僕だって消耗している。それはそうだよね、だって一撃一撃が僕の存在が消滅してしまいそうなほどの一撃を放つUFOが相手なんだから!」
ツッコミ「そんな危険なヤツと戦っているの!? 素手で!? っていうか、さっきより強くなってない!?」
ボケ「消耗をしていることはお互いに理解している。UFOはそんな僕を仕留めにかかる。僕は、最初で最後の一撃をクロスカウンターで繰り出す!」
ツッコミ「クロスカウンター!? どこでクロスするの!? クロスカウンターの意味わかってる? クロスカウンターって、相手も腕を出してきていて……」
ボケ「その瞬間、僕の幻の左ストレートがUFOを貫く。この衝撃に光を失い崩れ落ちるUFO」
ツッコミ「いやいや、そんな膝から崩れ落ちるみたいなこと言われても」
ボケ「こんな感じでUFOを撃退できると思う、どうかな?」
ツッコミ「ツッコミどこ満載だけど、ちなみにその崩れ落ちたUFOはどうすんのよ?」
ボケ「そんなの決まっているでしょ? 倒れた敵には手を差し伸べ、ガッチリ握手。これで次回からは仲間になるっていう流れよ」
ツッコミ「そんなわけあるか!」
ボケ「でもね、残念なお知らせがある」
ツッコミ「何よ?」
ボケ「仲間になったあとは、何故かサイズが小さくなっていたり、戦っていた時よりも弱くなっていたりするんだよね」
ツッコミ「少年マンガのライバルか、もういいよ!」