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いい写真の掛け声で

作者: 守隆和楽
掲載日:2020/01/13




「はい、良いシャシーン!」


家族でとる時の写真のかけごえはなぜか“いい写真”だ。

“はいチーズ”、でも“1+1は”でもない。「いいしゃしーん」と言われながら撮られる。


小さい頃から言われ続けて、特に不思議に思うこともなかった幼少期。

両親にその由来を聞いたりすることもなく、また自分から周りにその話をしたりすることもなかったから、自然染みついたまま気が付けばこの年になっていた。

どうしてこんな話をしているのかと言えば、ちょうどさっき思い出したからだ。



正月に帰省していた僕は親戚一同の集まりの中で写真を撮っていた。

趣味で始めて、実家まで持ってきていた一眼レフカメラを目ざとく見つけた叔父さんが一枚とってくれと言い出し、そうしようと親父が上機嫌にうなづいた。

学生時代や社会人になってからは周りのみんなが「はい、チーズ」、と言うものだから僕も写真を撮る時はそれに倣って言っていたけれど、レンズ越しの家族の笑顔を見て思うことは一つ。

掛け声は自然と出た。


写真の掛け声について親戚のおじさんも特に何か言い出すこともなかった。

だけれど家族以外の顔がカメラの液晶に映っていたから、僕はその違和感に出会ってしまった。

それで、母に聞いたのだ。なぜあの掛け声なのか。



「小さい頃ね、写真を撮るって言うとお姉ちゃんいつも変な顔をしていたの。

お父さんがそれを見て笑っちゃうからあんたも面白がってお姉ちゃんの真似をして変な顔をするようになっちゃって。いつまでたっても写真を撮れないから、お父さんが「はい、いい写真」って言いながら背筋を伸ばしたの。それを真似してあんたたちが背筋を伸ばしてくれたから、その日からうちで写真を撮る時はああいうのよ」


そんなことがあったなんて全然覚えてなかった。

でもそんなに昔のことが今でも残ってることがなんとなくうれしくなって、そうだったんだ、と僕は鼻の頭を掻いて笑った。



おわり

読んでいただきありがとうございました。

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