第一話 よくある話と思いきや
俺はごく普通の高校生、太郎。名前に関してよくいじられたりするが、自分的にはこの名前けっこう嫌ではなかったりする。まあそれは置いといて。
不遇な死に方をしたら異世界に転生したり転移したりするという話は耳にしていたが、まさか自分もそうなるとは思ってなかった。ていうか小説の話かと思ってた。死んだ時の事はよく覚えていないけど、なんでも神様のミスで事故死したらしい。
「ワシのミスで死ぬことになって申し訳ないのぉ。」
言葉の割に目の前の爺さん(神様?)はヘラヘラしている。
「一応聞きますが、生き返ることってできますか?流石に急すぎますし、やりたいことも山ほどあったのですが……。」
「本当に申し訳ないのぉ。」
さっきからずっとヘラヘラしてるなこの爺さん。ちょっと怖い。
「あの」
「ほんっとうに、申し訳ないのぉ。本当に本当に申し訳ないのぉ。」
様子を見る限り、元の世界には戻れなさそうだ。事故死らしいし元の身体がグチャグチャなのかな。なら生き返れないのもしょうがないな……ってそんな訳あるか!でも死を受け入れないと話が進まなさそうな雰囲気だ。
「……元の世界に戻れなくても問題無いです。」
「そうか!いやぁお主は優しいのぉ!」
ほぼほぼ言わされたんだけどな、と思っていたら爺さんが続けて話し出した。
「そのお詫びと言ってはなんじゃが、君を異世界に転生させてあげよう!」
……異世界転生。
「あの、やっぱ疑問なんですけど、なんで異世界なんですか?現世じゃダメなんですか?」
「申し訳ないのぉ。」
この爺さん、それさえ言えばいいと思ってるな。
「わかりました。転生します。」
「おお!君は優しいのぉ!そんな君には特別な能力を付けてあげよう!」
いったいどんな能力なんだ。あれか?チートまがいなやつか?でもこの爺さんのことだからまともな能力な気がしない。
「さらに申し訳ないんじゃが、ワシの手持ちの世界に空きの世界がない、つまり『転生者のいない世界』が無いんじゃ。だから、
ーーその世界での『二人目』の転生者になるんじゃけどいいかのぉ?」
たしかに転生する話はよく聞くと思っていたが、空きがなくなるほどだったのか。というかどれだけミスばっか起こしてんだこの爺さん。ただ、ここで文句を言ってもさっきみたいにに話が進まないだけだろうし素直に受け入れるしかないかぁ……。
「はい。それでも構いません。」
「おお! なんと心の広い青年なんじゃ!君には更に特別な能力を付与して異世界に転生させてあげよう!」」
更に……ってなんだ?
「ではさっそく異世界に転生させるとするかのぉ!」
「ちょっとまって色々聞きたいことがあr
「レッツ転生!!!!!!!!!」
ーーこの爺さんの声を最後に、俺の意識は途絶えた。