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《6周年ですよ! &120万PV大感謝! ありがとうございます!》 ギャルゲー転生 ヒロインたちを攻略しようとしたら俺が攻略対象でした!?  作者: mask
外伝ルート 私たちの冬休み

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外伝ルート 決戦の地は朱乃宮!43

「馬鹿馬鹿しい」

 私の視線は守羽親子から春陽さんへ。

「!?」

 春陽さんの右手には拳銃。

 警察ドラマで見るような小型のリボルバーだ!

 なんでそんな物を!?

「当主春陽」

 此方先輩が一歩前へ。

 もう此方先輩は春陽さんのことを“母”とは呼ばない。

「りっちゃん」

 さくらちゃんが私を庇ってくれる。

「当主春陽。あなたの負けです。これ以上の勝手はやめてください」

「この拳銃で、ここに居る者たちを殺してしまえば分からないでしょう?」

 春陽さんは両腕を伸ばし、銃口の先を此方先輩に固定する。

「そんなちっぽけな物では無理ですよ。あなたが誰か一人を殺す前に、私の毒であなたを殺せます」

 私からだと背中しか見えない。

 だけど此方先輩の両目には『蠱毒の瞳』が刻まれていると思う。

「じゃあ誰か一人は撃てるわけね」

 春陽さんが嗤う。

 嫌な感じがする。

 このまま追い詰めてはいけない。

 でも撃たれるかもしれないという恐怖で私も動けない。

「どうしたのですか、此方? 私を殺してみなさいな」

「安い挑発だな」

 此方先輩の視線が守羽親子へ。

「動かない方が良い。私の毒はお前ら全員殺せる」

 それは守羽親子を捕まえようとしていた朱乃宮の兵士たちに向けられたもの。

 牽制しなければ守羽親子に危険が及び、だからといって春陽さんも無視出来ない。

「りっちゃん」

 さくらちゃんが私の耳に囁く。

「やろうか?」

 まるで悪魔のような囁き。

 確かに、さくらちゃんの『魅了の瞳』は此方先輩の『蠱毒の瞳』より速く効く。

 この状況を覆せるかもしれない。


→《春陽さんを止めて》

 《瞳は使わないで》


 網膜に映る選択肢。

 私はーー


「母様」


 背後の声に振り返る。


「姉さん。まだ出てきて良いとは言ってないよ」

「此方ちゃん。ごめんなさい」

 苦笑する彼方先輩。

「母様。お久しぶりですね」

「…………」

 春陽さんは黙ってしまい、何も返さない。

「本当にあなたは姉さんに興味がないんですね」

 此方先輩の怒りの声。


「春陽ちゃん」


 優しい声が私に届く。

 その声はーー冬月さん。

「もう良いよ。親子で争うぐらいなら、もう良いよ」

 全員の視線が冬月さんへ。

 冬月さんは優しく目を細めて、春陽さんへ。

 さっきまでの鬼のような覇気は感じない。

 優しい。

 本当に優しい表情。

「何を、言って……?」

 顔を強張らせる春陽さん。

 娘である彼方先輩では見せなかった表情だ。

「彼方様、此方」

 冬月さんの視線は今度は彼方先輩と此方先輩へ。

「あなたたちは、あなたたちの実の父親の顔を覚えていますか?」

「……いや。物心ついた頃には父はすでに居なかった。朱乃宮 大輔。名前がそうだとしか知らない。それに、もう行方などどうでも良い」

「私もです。名前以外は何も」

「……そうですか。では、大輔の最期を知らないのですね」

「止めなさい」

 威嚇するような低い声。

 銃口は冬月さんを狙う。

「それ以上は許しませんよ、冬月」

 だけど冬月さんの口は止まらない。

「あなたたちの実の父親、朱乃宮 大輔はーー」

「黙れッ!」

 

 銃声。


 心臓が止まるかと思った。

 冬月さんの頭が揺らぐ。

「母様っ!?」

 守羽さんの悲痛の叫び。

「……大丈夫ですよ、紫織」

 冬月さんは無事だった。

 銃弾は兜に当たったみたいで、顔を戻すと、春陽さんを見る。

「今度は殺しますよ。甲冑を着ていたとしても、無事ではすみません」

「……そうですか」

 そう言うと、なんと冬月さんは鎧を外し始めた!

「なんのつもり、ですか?」

 春陽さんだって困惑する。

 鎧を外してしまったら銃弾を直に受けてしまうというのに。

「あなたも私を馬鹿にするのですかッ!? 引き金を引けないとでも思っているのですか!?」

「あなたに撃たれたら」

 激昂する春陽さんに対して兜を脱いだ冬月さんは微笑む。

「私は、あなたにとってそれまでの関係だということだよ。ね、春陽ちゃん」

「っ!?」

 冬月さんを狙っていたリボルバーは震え出す。

「彼方様、此方」

 春陽さんから視線を逸らさない冬月さん。

「はい」

 此方先輩が返す。

「あなたたちの実の父を殺したのは私です」

 冬月さんはそう告げた。

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