無事帰宅!
「「ただいまー」」
扉を開けて麻衣と声を揃える。
奥まで届いたようで、母さんーー相島姉妹のだが顔を見せる。
「お帰りなさい。学校どうだった?」
母さんはどっからどう見ても女子大学生にしか見えないほど若い。
高校生の子供を二人産んだとは思えない。
これもギャルゲー効果の賜物なのか初めて顔を見たときはドキッとしたものである。
感覚で言うと麻衣が大人になったらこんなかな~という感じで攻略対象になってもおかしくないほどの美人さん。
だけど表情は不安げ。
それも仕方ない。
大切な娘が記憶喪失になって初めての登校日。
気が気でなかっただろう。
「大丈夫だったよ。授業も何とかなったし、クラスの人も優しい人で」
「そう。良かった」
母さんは微笑む。
少しぐらいは心が和らいだようだ。
「じゃ、私は上でダラダラしてるから。何かあったら呼んで」
「え?」
俺の言葉に母さんが呆ける。
「どうしたの?」
「あ、ううん。いつもは勉強するからご飯までは話しかけないでって言ってたから」
「ああ、確かに。お姉ちゃんって帰ってきたらいつも勉強してたもんね」
どうやら相島 立花は相当の真面目ちゃんだったらしい。
勉強なんて何が楽しいのだろうか?
家でくらい遊べば良いのに。
「変かな?」
「変じゃないわ。そうよね。今日は疲れてるのよね。分かったわ。ゆっくりしてね」
さすがに本当の相島 立花のことを知らないと生活にズレが出てくる。
今は記憶喪失で通っているが今後どうなるか。
「お姉ちゃん、お弁当箱出して~」
「あ、ごめん!」
俺はすでに二階に上がっていたので一階で待っていた麻衣に弁当箱をスローイング。
「よろ~」
「ちょっと! お姉ちゃん雑すぎ。もうッ!」
と言いつつも持っていってくれる麻衣に敬礼!
俺は自室のベットへダイブして手近な本棚に手をーー
「本屋寄るの忘れた」
参考書など読む気になれず俺はそのまま寝ることにした。