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皆さん、こんにちは。
ギャルゲーに転生してしまった俺です。
さくらちゃんを救えたので俺の役目は終わったと思ったのだけど……
「まだ一人しか救えていないではないですか。それにあなたは相島 立花の《絆の結晶》を大きくして彼女に身体を返すのが目的ですよね?」
「まあ、そうだけど」
さくらちゃんを救った翌日のこと。
俺は普通に相島 立花として目が覚めた。
そして神様と話している。
昨日、さくらちゃんの家から格好良く立ち去ったんだけど……
「え、ちなみにどのぐらい大きくなったの?」
「元の五分の一ほどですよ」
「全然じゃんか……」
俺は肩を落とす。
「でも、まあ、気長にやるか……?」
"元"の五分の一?
神様が相島 立花と会ったときは彼女の《絆の結晶》はすでに粉々に砕けていたはず。
どうして"元"の大きさを知っているんだ?
「どうされたんですか?」
「あ、いや、別に」
俺の考え過ぎか。
それよりも今日は学校だ。
早く支度しないと。
「じゃあ神様、何かあったらまた頼むよ!」
「私はあなたを監視するだけですから」
神様は相変わらずの無表情。
だけどその方が心が落ち着く。
部屋の扉がノックされる。
神様が消えたから時間が進んだのだ。
「お姉ちゃーん! いつまで寝てるの~?」
「今行くよ!」
俺は準備を整えて麻衣と家を出る。
「おはよう! りっちゃん、麻衣ちゃん!」
玄関先で待ってくれていたさくらちゃん。
《絆の結晶》が修復されたこともあってか、一段と明るい笑みだ。
「おはよう、さくらーー」
「おはよう、さく姉」
…………え、今のってーー
「麻衣、ちゃん……?」
俺以上に驚いていたのはさくらちゃん。
目が真ん丸になっている。
「驚きすぎ。前はそう呼んでたでしょ?」
少し照れた様子の麻衣。
「麻衣ちゃーん!」
「ちょっ!?」
さくらちゃんが感極まって麻衣を抱き締める。
「苦しいよ、さく姉」
「ありがとう。ありがとう、麻衣ちゃん!」
「お姉ちゃん、見てないで助けて!?」
「あーはいはい」
俺は思わず笑ってしまった。
麻衣もさくらちゃんを赦してくれたみたいだ。
「ほら行くよ、二人とも」
「うん! りっちゃんも行こう!」
さて、まだまだ頑張りますか!




